彩ちゃんはうんうんうなずきながら、目をかがやかせる。


「そう!その大木先輩!昨日もサッカー部の練習を見に行ったんだけど、超かっこよかったの!」


「へえ!やっぱりすごい先輩なんだねぇ」


「すごいってもんじゃないんだからっ!」


 普段はとてもおっとりしている彩ちゃんだけれど、大木先輩のことになると興奮したように早口になる。


 相当大木先輩のこと好きなんだろうなぁ…。


 そう思いながらにこにこと彩ちゃんの話をきいていると、彩ちゃんはまた一段と声をひそめた。


「それで、私気づいちゃったんだけど…」


「うん?」


 彩ちゃんは頬を赤らめると、少しうつむいてつぶやいた。


「私、大木先輩のこと、…好きみたい…」


「うん?うん」


 彩ちゃんがなにを言いたいのかわからなかった私は、あいまいにうなずく。


 好きなことはよくわかる。


 だってすごくうれしそうに大木先輩のこと話してたもん。


 私の返答に、彩ちゃんはすねたように頬をふくらませる。