「おい、美桜」


「あ、ごめん一葉くん!話の途中だったよね。えっと、小さい頃からなんだっけ?」


 一葉くんはいおり先輩をにらむと、先輩に人差し指を突きつけた。


「お前にだけは絶対渡さない」


「えー、なんのことかなぁ?」


 いおり先輩はにっと口角を上げると、一葉くんに笑いかける。


「素直になれないおこちゃまには、負ける気しないかな」


「はぁ!?」


「ちょ、ちょっとふたりとも!急にどうしたの!?」


 なんだかただならぬ雰囲気を感じて、私は慌ててわって入った。


「別になんでもない」


 完全に不機嫌な一葉くんと。


「美桜、俺たちむしろ仲良しだよ?だって好きな子が一緒なんだから」


 訳のわからない説明をするいおり先輩。


「???」


 私はふたりの間にはさまれ、混乱するばかりだった。