一葉くんは男子にからかわれるのが嫌で、私と距離をおいていただけ?


 私がなにか嫌なことをしちゃったわけじゃなかったんだ!


「私のこと、嫌いじゃない?」


「嫌いなわけないだろ、むしろ、」


 一葉くんの瞳が鋭く光ったような気がした。


「俺は美桜のこと、小さい頃からずっと……す、」


「美桜ー?話終わった?」


 一葉くんの言葉の途中で、いおり先輩がひょっこり現れた。


「い、いおり先輩!?」


「やっほー」


「先に帰ったんじゃなかったんですか?」


「いや?ずっとそこのものかげから見てたよ?」


「そうならそうと言ってくださいよ!びっくりしたなぁ…」


 いおり先輩はとらえどころのない先輩であり、どこからともなく現れる。心臓もだいぶ強くなってきたぞ。