「野菜が嫌いでご飯を食べたくないとか、栄養を気にしすぎてご飯がおいしく感じられないとか、そういうのが一番よくないと思うの。ご飯はおいしく、楽しく食べてほしいから」
ふといおり先輩に目をやると、私を見て優しく微笑んでいた。
いおり先輩も、私が言おうとしていること、わかってるんだ。
「食べることを嫌いにならないでほしい。仲のいい人と一緒においしいご飯を食べるって、楽しくてうれしいことじゃない?」
祐一くんと愛奈ちゃんはまたお互いに顔を見合わせた。
「今は食べられない野菜も、大人になったら食べられるようになることもあるって聞くよ!だから今は少しずつ野菜に挑戦するくらいで、食べることを楽しもう!」
「「はい!」」
祐一くんと愛奈ちゃんは笑顔で返事をしてくれた。
ちゃんとふたりに伝えられた!とほっとして、いおり先輩に視線を向けると謎のウインクが返ってきた。
よくやった、とかそういうことかな?
「私も幼なじみがいるんだ。今はけんかしちゃってるけどちゃんと謝るつもり。だから二人も仲直りしよ!」
照れくさそうにした祐一くんと愛奈ちゃんは、お互いにぺこりと頭を下げた。
「うるさく言ってごめん。ただ愛奈が心配だったんだ」
「あたしこそ…祐一のお肉勝手にとってごめん。これからはなるべく、野菜もチャレンジしてみる」
ふたりは笑い合うと、おしゃべりしながら、時に笑い合いながらご飯を食べ進めた。