「そんなわけないだろっ。だれがこんな能天気女のこと…!」


「えっ…」


 能天気女って、私のこと…?一葉くんそんな風に思ってたの…?


 私がしゅんとしていると、いおり先輩が優しく頭をなでてくれた。


「おーよしよし。美桜ちゃん可哀想に」


「あ、いや、別にそういうつもりで言ったわけじゃ…」


 一葉くんは困ったように眉を下げると、「美桜、悪かった」そう言い残して出て行ってしまった。


「あっ、一葉くん!」


 制止の声は届かず、玄関のドアがバタンと閉まる音だけが聞こえた。


「一葉くん…」


「美桜の幼なじみくん、ちょっと子どもすぎない?好きなら好きってはっきり言えばいいのに」


 いおり先輩の声を遠くに聞きながら、私は少し落ち込んでいた。


 一葉くん、久しぶりに話せたのに…。


 やっぱりなにか怒っているみたいだった。


 それでも私を心配してわざわざ来てくれたんだ。


 一葉くんとちゃんと話しをしなきゃ。