眉間にしわを寄せた一葉くんは、今度は私をにらみつけた。
「美桜、なんでこんなやつ家に上げてるんだ」
「なんでって…」
「美桜は昔からお人好しすぎる。こんなわけわかんないやつ、美桜になにするかわからないだろ」
「い、一葉くん落ち着いて。いおり先輩は不思議な人だけど、嫌なことはしないよ」
私の説明に一葉くんは、また目をつり上げる。
「美桜の姉ちゃんとさっきそこで会った」
「あ、そうなの?」
「最近美桜が男連れこんでるって言うから来てみたら、こんなへらへらした変なやつ、どこがいいんだ」
「いおり先輩はご飯を食べに来てるだけで…」
「あー、なるほど」
いまいち要領を得ない私と一葉くんの会話に、いおり先輩がなにか納得したような声を上げた。
「きみ、美桜のことが好きなんだ?」
いおり先輩の言葉に、一葉くんの顔があからさまに赤くなる。
「は、はあっ!?」
「だから急に美桜に接近してきた俺が気に食わないんだ?あーなるほど、そっかそっかー」
いおり先輩はからかうように一葉くんを見やる。
一葉くんはさらに顔を真っ赤にした。