「ひとりのご飯はつまらなくて、食べることすらどうでもよくなってた。でもあの日、美桜が作ってくれた温かいご飯のおかげで、俺はご飯の時間が楽しみになったんだ。だれかと食べるご飯っていいものなんだ、って知ったよ」


 それは私が一番ほしい言葉だった。


 私のご飯を食べて、おいしいって言ってくれて、ご飯の楽しい時間を作る。


 私はずっと、それを目指していた。


 いおり先輩が私の手を握る。


「美桜、本当にありがとう」


「あ、改まってなんですかっ!ど、どういたしまして…?」


 いおり先輩からの熱い視線がなんだか恥ずかしい。


「これからもずっと、俺のそばにいてくれる?」


「ま、まぁ、いおり先輩のご飯係ですからねっ!」


「ありがとう」


 微笑んだいおり先輩は、いつかと同じようにちゅっと私の手の甲にキスをした。


「い、いおり先輩っ!?」


「美桜は一生、俺のご飯係だからね?」


「い、一生…?」