朝ご飯を作るために私が布団から出ると、いおり先輩も目をこすりながらついてきた。


「美桜、熱下がったばかりなんだから、座ってな」


「え?でも、ご飯…」


「美桜は食欲いつも通りある?」


 昨日の夕方から結局なにも食べずに寝てしまったのだ。


 それはもうお腹ペコペコ状態である。


「お腹、とっても空いてます!」


 私の返事を聞いたいおり先輩は、「よし!」とひとりで納得して、キッチンへと向かう。


「今朝は俺が作るよ」


「ええっ!?本当ですか!?」


「作るっていっても、美桜みたいにおいしいご飯が作れるかはわからないけど」


「いおり先輩のご飯係は私なのに、本当にいいんですか…?」


「美桜には日頃お世話になってるからね、体調悪いときくらい、俺が作るよ」


 いおり先輩の発言に私は目をぱちぱちさせてしまう。


「い、いおり先輩が優しい…!」


「えー、俺いつも優しいよね?」


「まぁそうなんですけど!ご飯まで作ってくれるなんて!」


「好きなひとの身体が一番大事でしょ?それくらいするよ」


「う…」


「いいから美桜は座ってて」


「はい……」