「ごめん、美桜、俺…まだ眠いから……」


 眠そうにあくびをしたいおり先輩は、また布団にもぐって寝ようとする。


 なんてマイペース……!


「い、いおり先輩!起きてください!」 


 私はいおり先輩の肩をゆする。


 しかし先輩は、「うーん…」とうなるだけ。


 仕方がない、先に起きて朝ご飯の支度をしよう。


 そう思ったのだけれど。


「へ……?」


 いおり先輩に引っ張られて、私はまた布団に戻ってしまった。


 目の前にはいおり先輩の顔がある。


「まだ早いでしょ…?美桜もいっしょに寝よう…?」


 眠そうないおり先輩の表情が、なんだかやたらとセクシーで、イケメンは怖いと思った。


「起きます!起きますので!!」


 私を抱きしめて離そうとしないいおり先輩から、なんとか必死に逃れようとする。


「こういうことは!付き合ってないといけないんですよ!?」


「こういうことって?」


「抱きしめたり、いっしょの布団で寝たり!です!」


「そうなの~?なら仕方ないかぁ…」


 いおり先輩は名残惜しそうに私を放した。


 いおり先輩って、出会ったときから思ってたけど距離感おかしいっ…!!


 ドキドキする心臓がもう無視できないくらいになっていた。


 病み上がりで急に動いたからだっ!そういうことにする!