「ただいま~」
「おかえり、美桜」
「い、いおり先輩!?」
さも我が家であるかのように平然とうちのリビングでくつろぐいおり先輩。
「また来てたんですか」
しかしそれもなんだか見慣れた光景になってきた。
「うん、美桜に会いたいからね」
いおり先輩は相変わらずの甘いマスクでにっこりと微笑む。
あれからいおり先輩はよくうちに来るようになった。
最初のうちはいおり先輩の素敵すぎる笑顔や、ちょっと行きすぎたスキンシップにどぎまぎしていたけれど、それも毎日のように続くとすっかり慣れてきた。
「先輩、今日もご飯食べていきますよね?でもご飯にはまだ早いので、少しおやつにしようと思うんですけど」
「そうだね、紅茶でも淹れようか」
いおり先輩はキッチンにやってきて、私の横に並ぶ。
私がクッキーを焼いている隣で、紅茶の支度をしてくれている。
「いおり先輩、うちにばかり入り浸っていていいんですか?」
「どうして?」
「だって先輩三年生ですよね?受験とかあるじゃないですか」
「ああ、俺優秀だから平気。そんなことより、美桜と一緒にいる時間の方が大事だから」
「そ、そうですか…」