眉間にしわを寄せていた一葉くんが、ようやく口を開いた。
「美桜って、本当におせっかいだよな」
「う…」
「でも、…」
一葉くんは伏せていた顔を上げて、しっかりと私に言った。
「美桜の言う通りだと思う。俺は独りでご飯を食べるのがさびしかった。お弁当やパンで適当に済ませれば、ご飯の時間は短くなって、そんなさびしい気持ちなんて、感じることもないだろうって」
「うん…」
「だから美桜の家に行くのも避けてた。美桜たちと一緒に食べるご飯はいつだって楽しくておいしい。それが家に帰って急に独りになって、その楽しかったご飯の時間を思い出すのがしんどかったんだ」
「うん…」
「俺、美桜たちと一緒にご飯が食べたい。美桜の言う通り、ご飯はだれかと楽しく食べるものだと思うから」
「うん!うん!」
一葉くんの言葉に、私は力強く何度もうなずいた。
「今日から一緒に食べよう!おじさんおばさんが帰ってくるまで、毎日!」
「ああ」
一葉くんは優しく目を細めて笑った。
一葉くんのこんな表情を見るのは、ものすごく久しぶりのような気がした。