……お、…みお……。


 だれかが呼ぶ声がする…。だれだろう…?


「起きないみたいだし、とりあえずキスでもしておこうかな」


「んん!?!?」


 私はぱちっと目を覚ました。


「やあ、おはよう、美桜」


「い、いおり先輩…」


 目を覚ますと、なぜか私の頭はいおり先輩のひざの上に乗っていて、そこで眠っていたようだった。


「お邪魔したら美桜がかわいらしく寝ていたもんだから、起きるまでのんびり待ってたんだけど。いつもならそろそろ晩ご飯を作る時間だったから声かけちゃった。まだ寝ていたかったかな?」


「あ、いえ!起こしてくれてありがとうございます!ちょっと休むつもりが、寝ちゃってたみたいで」


「体育祭で疲れたんだね。朝もお弁当作りで早かったんだろうし。お疲れ様」


 いおり先輩はそう言いながら、私の頭をなでた。


 お姉ちゃんになでられるのとは違って、壊れ物に触るみたいに優しくなでてくれる。


 その手が温かくて心地よくて、また眠ってしまいそうになった。


「って!いおり先輩こそ!疲れているはずです!」


「?」


 いおり先輩はまったくなんのことかわからない、とでも言うかのように首をかしげる。