いつになく厳しい声で、ギュスターヴに名を呼ばれました。
 首を竦めておそるおそる見上げれば、その顔は別段怒っているふうではありませんでしたが、凪いだ瞳がじっと私を見据えていました。

「迂闊な真似をするな。精気を吸い取られ過ぎれば、お前とて滅びるぞ」
「ヒヨコはそんなこと……」
「そいつに、加減ができればいいがな」
「……」

 むっとして口を引き結んだ私の横では、ヒヨコがおろおろしています。
 そんな私達を眺めて、ギュスターヴは小さく肩を竦めました。
 そうして、パンと一つ手を打ち鳴らすと、仕切り直すように言います。

「精気云々はともかく、アヴィスはまず、飯を食え」
「めし……」
「お前はいったい何ならば食う気になるんだ? せっかくだから、城に帰る前にどこかで食っていこう。そこのヒヨコも一緒で構わん」
「本当ですか!?」

 さっそく私はヒヨコと頭を突き合わせて、携帯端末を覗き込みます。
 せっかくですので、吸血鬼を倒す案を寄せていただいたお礼を投稿ついでに、フォロワーさんにおすすめを聞いてみましょう。
 反応はすぐにありました。本当に、皆さんお暇なんですね。
 おかげで、今朝までやりとりをした〝血に飢えた獣〟さんの、ピンクコウモリアイコンはどんどん過去に埋もれていきます。
 さようなら、マイフレンド……永遠に……