「──その〝いけない子〟とは、私の子のことか?」




 静かに響いたその声が、一瞬にしてこの場を支配してしまいます。
 低く艶やかで、穏やかにさえ聞こえるのに、絶対に逆らえないと思わせる覇王の声でした。
 けれども、私にとっては何よりも心強い声です。



「ギュスターヴ……」



 門限の五時にはまだ程遠いというのに、長いマントを翻した自称〝アヴィスのお父さん〟が私の前に立っていました。