「えいっ」

 吸血鬼達の動きはさほど素早くないため、ド素人の私でも何とかなるものです。
 それにしましても、正当防衛だと思うと遠慮なくぶちのめすことができて大変爽快ですね。
 ぐしゃっ、と相手が壊れる感触……なんともワックワクしてしまいます。
 しかしながら、吸血鬼達は意外にしぶとく、倒しても倒してもすぐに復活してしまいます。
 私の身体は生前よりは疲れにくいようですが、このままではさすがにバテてしまうでしょう。

「ヒヨコ、ひとまず逃げませんか?」

 キリのない戦いに見切りをつけた私は、鬼神のごとく双剣を振るっていた頼もしい相棒にそう声をかけます。
 それに小さく頷いたヒヨコは、目の前に迫ったガタイのいい一匹を屠って、その首無しの身体を押し寄せる吸血鬼の群れに投げ入れました。
 知性の欠片もない連中だと思っていましたが、無惨な仲間の死骸を忌避するくらいの感性はあるようで、一瞬そこにぽっかりとした空間が生まれます。
 ヒヨコはすかさずその隙を付き、私を抱えて包囲網から抜け出しました。
 とはいえ、玄関扉や窓の周りには大勢たむろしていて、外に出るのは到底無理そうです。
 私達は否応なく二階を目指すことになりました。
 ヨタヨタと吸血鬼達が階段を上って追いかけてきます。
 さらには、二階の廊下の奥からも、新たにわらわらと現れました。
 ヒヨコに抱えられているだけの私は、この状況を打開するべく案を募ることにします。
 会員制交流場のフォロワー各位、に。