「──どいつもこいつも」
それは、突然のことでした。
私の辞世の句を代弁する者が現れたのです。
私のものとは似ても似つかない、低く艶やかな男性の声でした。
「私の周りは愚か者だらけか。なぜ、誰も止めなかった」
声の主は苦々しい様子でそう続けます。
いつの間にかぼんやりと天井を見上げていた私は、はっと我に返りました。
大きく二度瞬きをしてから視線を正面に移せば、赤い瞳とかち合います。
その赤は、私が吐き出した血よりもまだ、もっとずっと、鮮やかな色をしていました。
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