「ぎゃああああっ……!!」


 背後で、耳をつんざくような悲鳴が上がったのです。
 次いで、勢いよく飛んだ何かが私達を追い抜き、ボトリと地面に落下しました。
 ドラゴンのものであろう、血を噴き出す手首です。
 私は思わず息も足も止め、背後を振り返りました。



「あっ……」


 三匹のドラゴンと私の間には、何者かが立ち塞がっておりました。
 手には、血に濡れた双剣を構えています。
 フードの付いたマントの裾が、風を受けてバタバタとはためきました。
 頼もしい後ろ姿には、見覚えがあります。
 私は声を弾ませてその名を叫びました。



「──ヒヨコ!!」