「……っ、くそ! てめえ、何しやがるっ!!」

 前者はなんと、倒れず踏みとどまってしまったではありませんか。
 てめえ、なんて呼ばれたのは、生きていた時も死んだ後でも初めてのことです。
 大変口惜しいことですが、私の戦闘力はドリーの言う通りゴミだったのかもしれません。
 男は血走った目で私を睨みつけると、右手を振りかぶります。


 ここで、私は一つ学びました。


 誰かを殴りつけるならば、殴り返される覚悟も必要だということを。



「……っ!!」



 次の瞬間──


 男の巨大な手のひらに左の頬を引っ叩かれた私は、彼のように踏みとどまることができずに吹っ飛んでしまったのでした。