識くんが話をまとめてるけど、どう考えてもこれ、Kis/metに入る流れになってない!?


「あの! 私は……その、」


どこから説明したらいいの?
わたしなんて、やめたほうがいいですよとか?


「おい、どうした?」


気付けば織くんがわたしの顔をのぞきこんだ。
そのあまりの近さに「ひっ」と声が詰まる。
男の子とこんなにも近くで話したことなんてない……。


「ぎゃはは! 学校一のモテ男の識が、悲鳴あげられてるぞ」


海音くんがおかしそうに笑う。今度はパフェを食べてる。
だから一体どこから出てきてるの!?


「識の人気は主に女子ですからね。男にはあまり通用しないのでしょう」


祈くんがさらに、識くんをからかおうとする。
本当にそんなつもりはなかったのに……ん?
今、ものすごく引っかかることを言われた気がする。
識くんが女の子にモテモテってことは事実だとして、男には通用しない──
あれ……つまりわたし、男の子だと勘違いされてる!?
だからKis/metにも入るような流れになってたりするの!?


「ご、ごめんなさい……! 実はわたし」
「あれ、なんかついてるぞ」


識くんがわたしの髪の毛に触れる。


「!?」
「あ、葉っぱか。ここ来るまでについたんだろ」


だからどうして識くんはこんなに人との距離が近いの……!?
って、わたしのことを男の子だと思ってるからか。