「大丈夫、だってすごく可愛い。取るなんてもったいないよ」


わたしには似合わないって、そう思ってきたけど。
似合う似合わないじゃなくて、自分が好きかどうか、それだけでよかったんだ。
わたしはフリルが好き。ううん、ママが作ってくれる全部が好きなんだ。


「ありがとう、ママ。いってきます!」


ママに見送ってもらって、外に出る。
この格好で行くのは、やっぱりちょっと怖いけど。
……でも、わたしのことを特別だって言ってくれる人たちが、あの学校にもいるから。
周りの声なんて気にしない。


「わ、見て……」「えー……だれだろう?」


学校に近付くにつれて、なぜだかたくさんの視線を感じるようになった。
もしかして変かな?
うーん、気にしないって思ったばかりなのに、やっぱり気になってる……!
スカートをアレンジしてる子は見かけたし、わたしだけでもないと思うんだけど……。
それとも髪がすごいことになってるとか!?
いやいや、家を出るまでは完璧だった。ママがアイロンとかコテでさりげなくセットしてくれてたし。
じゃあどこが──


「ねえキミ! どこのクラス!?」


校舎に入ろうとしたら、数人の男の子に囲まれた。


「え……あ、あの」
「ガチで可愛いよね! 彼氏とかは?」
「バカ、そんなこと聞くの早いって」


ど、どうしよう……!
全然知らない人だ。