次の日の朝、わたしは全身鏡の前から動けないでいた。
「季衣……無理しなくていいのよ?」
その後ろには、心配そうにわたしを見るママがいた。
「……ううん、わたしこんな風だったんだなって」
鏡に映るのは、男の子の格好をしたわたしじゃなくて、スカートを履いて、ウィッグも被ってないわたし。
髪はママにアレンジしてもらって、毛先がくるっとしてる。
スカートには、もともとついてなかったフリルがさりげなく裾についていて可愛い。
これは、昨日わたしがママにお願いしてつけてもらったもの。
「学校にもフリルのことは確認したから、スカートは大丈夫だと思うけど……季衣が嫌なら、すぐに取るから」