一人用のソファーみたいなもので、座るとすっごくやわらかい。


「さて、早速ですが本題に入りましょう」


祈くんが切り出して、わたしとピンと背筋を伸ばす。


「そんなに緊張しないでください」
「う、うん……」
「あなたに来てもらったのは、最終確認をしたかったからです」
「最終……確認?」
「Kis/metに入るかどうか、決断していただきたいのです」
改まって言われると、言葉がすぐに出てこない。
わたしの反応を見て、祈くんは「すみません」と言った。


「急かしていることはわかっています。ただ、上がうるさくて」
「上って……理事長ですか?」
「ええ、昨日、識の件について報告にいったんですが、あなたの件についても聞かれまして」


そっか……それもそうだよね。
Kis/metに新メンバーを追加するって話も、理事長が考えたものだって言ってたし。


「そろそろ決めてもらえると助かる、とのことでした。僕としても、あなたに無理はさせたくないですから」
「無理だなんて……」


そんなことは思ったことない。誘われたことは、戸惑ったけど嬉しかった。


「今のあなたは、どうしたいですか?」
「わたしは……」


ここに来てからのことを思い出す。
毎日いろんなことがあって、でもまだ一か月も経ってないんだと思うと信じられなくて。
学校がこんなにも楽しいだなんて初めて知って。