なんていうか、すごく厳しそう人?
だからか分からないけど、緊張してきて心臓が止まりそう。


「君はオーディション参加者ですか?」
「ち、ちちちちがいます! わたしはただ、職員室に行きたくて……」


後半はほとんど声が小さくなって聞こえなかったかもしれない。
祈くんも、耳を傾けるようにしてわたしの声を聞いて、それから「はあ」と大きなため息をついた。


「識、参加者じゃない人を連れて来ないでください」
「……うそだろ」


識くんが、なぜか信じられない気持ちでわたしを見てる。


「その顔で参加者じゃないのかよ」
「へ?」
「どう考えても即採用の顔だろ」


ソクサイヨウ……?
首を傾げたら「まあ」と祈くんが言った。


「今日の参加者の中でも圧倒的に顔は整っていますね。身長は少し足りないようですが……まあ顔でカバーできるでしょう」
「オレも思うぜ! こいつはなんかすげーよ! 絶対メンバーに入れたほうがいい!」


なぜか海音くんまで参戦してる……というか、今度はチョコレートケーキを食べてる。あれ、どこにあったんだろう。


「ボクも悪くない、と……おもう」


しかも、今まで祈くんの隣で寝ていた水色の男の子がフニャフニャと寝言みたいに言った。


宇宙(そら)もそう言ってんだし、採用でいいだろ」