「……はっ、今さら気付くとかばかかよ。見たらすぐわかるだろ」


清白くんは、呆れたように笑う。


「じゃ、じゃあ……識くんは? どこからわかってたの?」


この人が全部やったってことを。
そういう意味で聞いたら、識くんは前髪をかきあげた。


「全部。1回目のガラスが割れたときから」
「……そんな」


だとしたら、この人のことをずっと庇ってた?
しかも、暴走族に襲われてたときも、この人を助けに行ったりもして。


「偽善者ぶるなよ!」


清白くんが大声で叫んだ。


「お前が今さらいい人ぶったって遅えから! やった罪は消えないんだからな!」
罪って……そんなのおかしい。
識くんはなにもしてない。それを清白くんが逆恨みしてるだけなのに。


「……そうだな」


識くんは反論することなく認める。


「俺が人を殴った過去は消えない。それでお前を傷つけたことになるなら、好きにすればいい」


識くんは、きっと清白くんがお兄さんの復讐で動いていたことを知っていた。
だから、窓ガラスのことも自分が犯人だなんて言ってた。
清白くんの復讐を受け止めてた。
思えば、識くんだけおかしかったんだ。
生徒会室に初めて招かれた日。
それぞれ、みんなが何かをやらかしてたって聞いて。
海音くんはプールにスーパーボールを入れたって話。
宇宙くんは体育館に抱き枕を大量に搬入したって話。
祈くんは学校に駅を作ろうって話。
これは、全部、心に隠してるものだったりを反映させたようなものだった。
だからわたしも応援したいって思ったし……いや、もちろんダメなんだけど。
でもちゃんと理由があった。