「……犯人、絶対捕まえてね。応援しかできないけど、でもみんななら、きっと捕まえられる」


見ていることしかできないけど。


「当たり前だろ! きいっち、オレに惚れ直すなよ~?」
「ボクもがんばるよ。季衣ちゃんのためなら」
「ええ、あなたの応援があれば、僕らは無敵です」


信じることはできるから。
どうか、犯人が捕まりますように。
みんなが無事でありますように。
そして、識くんを助けられますように。

⬜︎⬜︎⬜︎

みんなの邪魔にならないように、生徒会室には行かないようにした。
あれから2日。今のところ犯人はまだ特定できてないみたい。
識くんも学校にはずっと来ていないから、なにをしているかもわからないけど。


「……信じるって決めたんだから」


放課後、帰ろうとしたとき。


「こんにちは、涼風さん」


教室に、知らない人が入ってくる。見たことがないけど、どこのクラスの人なんだろう。
しかもわたしの名前を知ってる。


「ええと……?」
「お話をしませんか?」


教室には何人か残っていた。
その人はつかつか歩いてくる。微笑んではいるけど、なんとなく怖い。


「あ、あの……わたしは」
「女ですよね?」
「!」
「涼風季衣が女だってことがバレたくないなら、ついてきてもらえません?」


小声で脅してくるような喋り方。
笑ってるのに目が笑ってない。