「犯人を探したい、……です!」


翌日、生徒会室に行くと祈くんと海音くん、それから宇宙くんがいた。
みんなの前で、こんなことをいきなり言い出すなんて変な奴って思われるかもしれないけど。
それでもやっぱり、識くんを守るためには、犯人を探すしかないはずだから。


「もちろんそのつもりです」


祈くんが、当たり前かのように言った。


「オレらもちょうど、その話してたんだよ」
「うん、犯人見つけたら識くんは退学しなくて済むし」


海音くんと宇宙くんも同じことを思ってたみたい。
よかった、みんなで探せばきっと犯人も見つかる。


「ですが、涼風季衣、あなたは犯人探しに加わることは認めません」
「……え?」


喜んだのも束の間、祈くんがピシッと言った。


「相手が男だということは確定しています。窓ガラスも割るような暴力さを持っていますから、涼風季衣を前にして手を出してこないとは言いきれません」
「そ、それはそうかもしれないけど……でも、男の子の格好してるから──」
「ダメだろ」


海音くんがひょいっと立ち上がって、わたしの近くまで歩いてくる。


「きいっちは女の子だ。危ないことに参加させたくない」
「そ、そんな……あの、近いよ?」
「ボクもそう思う」
「宇宙くん?」


後ろからぎゅっと抱きしめられる。
自分が抱き枕になったみたい……。


「季衣ちゃんは可愛いから、向こうも狙ってくるよ」
「か、可愛いはどうかな……」
「こら宇宙! きいっちから離れろ!」
「やだもん」
「やだって言うな!」


ふたりにもみくちゃにされていると、「とにかく」と祈くんが言った。


「涼風季衣、あなたは犯人を探さないでください」
「そ、そんな……」