だって、識くんは自分を見つけたくて、ずっと頑張ってた人だから。
そんな人が、ストレス発散なんて理由でガラスを割るはずないし、やっぱり今回もだれかを助けるために自分を傷つけちゃってるのかも。


「じゃあ、その子のことを季衣が守ってあげたらいいのかもね」
「……守る?」
「その子は、だれかのために戦っているんでしょう? 季衣も、その子のためになにかしてあげたいって思うなら、季衣はその子のことを最後まで信じて、”犯人なんかじゃない”って言い続けることもひとつの答えなのかも。なんて、えらそうに言ってごめんね」
「……ううん、そんなことない」


ママの言う通りだ。
わたしは、識くんが犯人じゃないってわかってる。
だったら、識くんがだれかを守るように、わたしだって識くんを守ろう。
識くんが犯人じゃないって言い続けて、識くんを守れるようになりたい。


「ありがと、ママ。わたしもその子のために戦いたい」


識くんがひとりにならないように。
わたしができることをしたい。