フードを深く被ってるから顔はよく見えないけど、たしかに識くんじゃないことだけはわかる。


「なら、こいつを捕まえれば一件落着ってわけか!」
「理事長も、この映像を見たら識くんじゃないってわかってくれる」


海音くんと宇宙くんの言葉に、わたしも大きくうなずいたけど。


「──いえ、解決はしないでしょう」


祈くんはバッサリとそれを否定した。


「なんで!」


海音くんがおどろきながら祈くんを見る。


「あなた方も聞いていたでしょう。識は、今回の事件を自分がやったと認めています」
「で、でも、ここに映っているのは識くんじゃない……」


だとしたら、犯人を探せばいいはずなのに。


「僕が懸念していることを話しましょう」


祈くんは生徒会室の窓に近付く。それから、外を眺める。


「け、ケネンってなんだ?」
「心配してること」


海音くんは、宇宙くんに教えてもらって「なるほど」とつぶやいてた。


「識は、自分が犯人だということで、今回の件が丸く収まると考えているはずです。そして、それは、犯人が望んでいる可能性が高いです」
「望んでいる……?」
「前回の窓ガラスが割れていたときのことを話しましょう。あのとき、最初に犯人の名前としてあがったのは識です。なんの根拠もないのに」


わたしは、そのときのことを知らない。