「すげ! ストライクじゃん! やったな季衣」


わたしよりも喜んでくれてる識くんがいて、なんだかすごくうれしくなった。


「やった……初めてだよ、ストライク」
「センスあるんだな、さっきまでガーターばっかだったのに」


はい、と両手をあげられる。
なんだろう?
同じように真似をしたら「なんだよこれ」って識くんがまた笑った。


「ハイタッチ、な」


パンと手が当たる。
そっか、これハイタッチの合図だったんだ。
今までそんなことなかったからなんだか新鮮。
なんだろう、すごく楽しい。




「はあ、楽しかったな」
「う、うん! こんな放課後初めてだよ」
「季衣ってば初めてばっかだな。逆に今までどうしてたんだよ」
「え? 今までは……」


学校が終わって、わたしと遊んでくれる子なんていなかった。


『涼風さんと遊んだら、同じ格好させられちゃうんだよ』


そんな変な噂が広まって、だれもわたしと目も合わせてくれなくなって。
でも今は、こうして識くんが遊んでくれてる。
……あれ? でも今日は本当に遊んだだけで終わりそうじゃない?
こうして一緒に過ごす目的って、あくまでわたしをKis/metに入れるためだよね?
このまま解散ってことになったら、今日の時間ってなんだったんだろう。
もしかして、識くんとしては、わたしをKis/metに誘うことを諦めてるとか?


「あの、識く──」