「よし、じゃあ行くか」
「え、行くってどこに?」
「それは、ついてからのお楽しみだろ」
ひょいっと立ち上がった識くんは、そのままスタスタ学校を出てしまう。
一体どこに連れて行かれるんだろう。




「おお! 季衣、壊滅的に下手だな!」
「識くんがうますぎるんだよ……」


学校を出て、わたしたちはボーリング場に来ていた。
さっきからガーターばかりで、ボールがピンに当たらない。
それなのに、識くんはほとんど全部倒しちゃうし。


「うーん、もしかしたら持ち方? 姿勢? なんかトータルで悪いんじゃねーか?」
「それって全部のような……」


もう一回投げよう準備していると、後ろからふわっと抱きしめられた。


「えっ、し、識くん!?」
「角度はここ」


……抱きしめられたっていうのは勘違いで。
肩を掴まれて、角度の調整をされている。
でも、びっくりした……しかも、かなり近い……!


「このまま真ん中にいくように意識……って、季衣、聞いてんのか?」
「き、聞いてます……!」
「ふっ、なんで敬語なんだよ。ほら、変に力入れんなって」
「そ、そうだよね」


言われたとおり、角度と、真ん中に意識する。
このまま投げたら──
パコーン!!!


「……ぜんぶ、たおれた」
「ストライクじゃん!」


今度は二の腕あたりを掴まれて、ぶんぶんと前後で揺さぶられる。