一枚のプリントにそれも何か所も!


「なにをそんなに驚いているんですか」
「ま、まさか……これ全部読んで……?」
「当たり前でしょう。ミスがあればこちらで修正をかけなければ、ゆくゆくは大惨事になりますから」


難しい言葉が並んで、一体なんのプリントなのかもわからない。
こういうのって大人が読むものだと思ってたけど、祈くんがこれを管理してるなんてすごい。


「まとめかたは任せます。ただ日付順でお願いします」
「わ、わかった……」
「では、僕は別の仕事をしていますので。何かあれば遠慮なく声をかけてください」


そういって、カタカタとパソコンを打ち始める。
別の仕事って、一体どれだけあるんだろう……。
こんなの身が持たない気がするけど……。
とりあえず今は、任された仕事をしよう。
ええと、たしか日付順で……。
あれ?
なんかこれ、ほとんど日付順になってるような……あ、でもなってないところもある。
ゆっくり、間違えがないように見ていけば見ていくほど、一つの考えが思い浮かぶ。
もしかして──。


「あ、あの……」
「はい、なんですか」
「終わったんだけど、ほかにお手伝いすることはあるかな……?」
「そうですか。いえ、ほかにはありませんので帰っていただいて結構です」


一度も視線を上げることなく、祈くんはパソコンの画面を見ていた。