コホンと、これまでの空気を切り替えるように祈くんが咳払いをした。


「そこで、我々の行動が上に──いわゆる学園長の耳に届いたことが原因で俺たちは罰を受けることに」
「ええと、その罰って……?」


わたしの問いかけに、今度は識くんが答えてくれる。


「問題が外に漏れたら、この学園の評判が下がるんだとよ。来年の入学者が減るのを阻止するために、俺らがこの学園の看板になってアピールしろってさ」
「広告に出たのもそれが理由ってやつだな」


ピースサインを作りながら海音くんが笑った。
なるほど、街中で見たあの広告も、学園長からの指示だったんだ。


「あれ、じゃあわたしが入る理由はないのでは……?」


アピール活動は十分この4人で問題ないはず。
だったら、わたしがいなくてもいいのに。


「それも学園長からの指示だ。Kis/metは5人でなけれならない」
「どうして?」
「学園長が一番好きなすうじ」


フニャフニャと宇宙くんが寝言のように言った。
ってか5が好きな数字だからメンバーを増やせって適当すぎない!?
だからオーディションまでやってたんだ。


「でも入りたい人はたくさんいると思いますし、わたしじゃなくても……」
「希望者は多くても、合格者は涼風季衣、ひとりだけだ」


祈くんが言った。


「俺たちのバランスを考えても、涼風季衣、君はちょうどいい」