この人たちはどこまでいってもブレないらしい……。
ねこの目をしたアイマスクに「きらいなわけでもなくて……」と返してみる。


「ただその、わたしは──」
「悪いんだけどさ」


それまで黙っていた識くんが、ふっとわたしの隣に立つ。それから、


「俺にはお前が必要なんだよ」


真剣な目で静かにそう言った。
というか、やっぱり近い……!


「ひ、必要って……」
「識、それは語弊があります」


祈くんが、動かしていた手を止める。
語弊……っていうのは、ちょっと意味が違うってことだよね?
よかった、わたしなんかが必要なわけ……


「涼風季衣が必要なのは”俺たち”ですから」
「……へ?」


当たり前のように祈くんが言う。しかも誰も反論しない。
なんでわたしが必要なの?
しかも”俺たち”って全員にってこと?
わからないままでいると、祈くんが、ふうっとひとつ息をついた。


「涼風季衣、俺らは学園側から罪人とみなされています」
「ざいに、ん?」


それって悪いことをしたってことだよね?
でも学園のアイドルみたいな人たちが、そんな悪いことをしたなんて……


「オレらはなんも悪くねーんだ!」


海音くんがいつになく真剣な顔をしている。


「そうだよね、みんなが悪いことなんて……」
「プールにスーパーボール入れただけで大人たちは大騒ぎしてんだからさ」
「…………今なんて?」