「はあ? ぜんっぜん軽いし、いつもの筋トレに比べたら余裕」

筋トレしてるんだ……だからこんなにも軽々と……って感心してる場合じゃないよね!?

「いくぞ」
「ま、待って……! おろして~~~!」





「もっと静かにできなかったんですか、涼風季衣」
「す、すみません……なんかジェットコースターみたいで……」


識くんに連行されてからというもの、わたしを担いでいるというのに、とんでもない早さで走るものだから絶叫が止まらなかった。
その後ろで海音くんが楽しそうに「競争だ!」なんて追いかけてたし、宇宙くんも眠りながらも器用に走ってた。
そして今、生徒会室に連れられたわたしを待っていたのは、たくさんの資料にものすごいスピードでハンコを押していた祈くんだ。


「それだ、聞くところによるとKis/metに入ることを拒んでいるらしいですね」
「あ……はい。そもそもオーディションに参加したのも手違いといいますか……」
「でもさ、きいっち。Kis/metに入って学食タダになりたくねーのかよ」
「それは海音くんだけの特権かと……」
「そうなのか!」


今気付いたみたいな顔で祈くんを見ている。気付けばいつから食べていたのか、とっても大きなグルグルキャンディーを手にしていた。


「季衣ちゃんは、ぼくたちのことがきらいなの?」


高級そうなソファーで横になる宇宙くんは、すでにアイマスクをしていた。