「嬉しいよ。エンがそんな風に甘えてくれて。それで……確認なんだが、エンは俺のことを好いてくれているんだよな?」

 嬉しそうに口角を上げてこちらの顔を覗き込むレオ。

 それはそれは格好いい表情を浮かべていて、心臓がドキドキと音を立てはじめる。

「あっ……その……そうですけど……。ごめんなさい。私みたいなのが、王子様を独占してしまって、王様達に申し訳ないです」

「そんなこと、大丈夫に決まっている。むしろ俺がエンを射止めたことを喜んでいるぞ」

「そっ……そうなのですか?それなら良いですけど……」

「王や貴族の重鎮達は早く番の儀式をしろとうるさいくらいだ」

 ん?

 番の儀式?

 聞き慣れない言葉が出てきたな? 

「それって、結婚式って事?」

「いや、違うな。契りを交わし、体を重ねると言うことだ」

 契り?

 体を重ねる?

 それって……R18的な事よね?

 私がそれに気づき、顔を真っ赤にさせながら俯くと、レオが妖艶に笑った。

「意味は分かっているみたいだな」

「えっと……それは……。子供ではないので……」

 目を逸らして下を向いた私の顎に手を当て、レオがクイッと上に上げた。私の真っ赤な顔がレオの前に晒される。そんな私の顔を見たレオの目が細められた。

「エンのエッチ」

「なっ……レオの方こそ!」 

 反論すべく口を開くと、その口をレオが唇で塞いできた。

 深く濃密なキス。

「んっ……ふぅっ……あっ……」

  レオの舌がエンの上顎を優しく撫でながら、唇の角度を変えエンの唾液を舐めとっていく。耳に伝わる唾液の音が、卑猥(ひわい)で体が熱くなる。

 その卑猥な水音に促されるように声が漏れてしまう。

 ゆっくりと唇を離すと、レオがペロリと下唇を舐めた。

「レオの方がエッチじゃない!」

「くくくっ、そうか?」

「そうだよ!」

 付き合いたてのバカップルのような甘い時間が流れている。そんな時間が、今の私の癒やしとなっていた。