レオがジッと私の瞳を覗き込んでくる。何か言いたげなのは分かるが、私はそれを完全に無視した。そんな私の気持ちを察したのか、レオが大きく溜め息を付き、言葉を飲み込んでくれた。

「エンがそう言うなら」

 レオは私の後ろにいる獣人さん達に向かって、声を張り上げた。

「我が名はレオンポルド・エンブリア。エンの保護感謝する。礼は後ほどする予定だ。何でもい言ってくれ」

 それを聞いた私は、ホッとしながらノクスさん達の方を見た。ノクスさん達もホッとしたのか、目に涙を浮かべて喜んでいた。

 良かった。


 
 私はそのまま屋敷には帰れず、王城へと戻された。人間が実在していたという噂も広まってしまい、王都は混乱してしまっている。そんな中、屋敷の警備だけでは危険と判断した結果だった。

 そうだよね。

 日本なら雪男や、ツチノコ発見!レベルの騒ぎなのだろう。

 王城には連日、人間と謁見したいという貴族や、各国の王族や使者が集まってきている。おかげで私は城の自室で軟禁状態になっていた。

「はぁー。自分が悪いのは分かっているよ。でも、あんな風に強い風が吹くなんてさ。油断していたのが悪いけどさ……。ああぁぁぁぁーー。ストレスが溜まる」

 あの時強い風さえ吹かなければ、こんなことにはなっていなかったのに。もっと慎重に動いていれば……。そんなことばかり考えてしまうが、起きてしまったこと、バレてしまったことを悔やんでも仕方が無い。

 それよりも、これからどうするかと言うことだ。