「私を無事に帰してくれるなら、あなたに十分なお金を支払います」

「それはいくらだ?」

「あなたの言い値で良いですよ。その代わり私を無事に帰すことが条件です。どうです?」

「そうだな……」

 これだけでは、うんとは言わないか……。

 それなら……。

「あなたはお金をもらった後の事は考えているのですか?私はあなたの未来が見えます。お金をもらった後、あなた達は捕まりますよ。逃げ切ることは出来ません。ですが、私ならあなた方を逃がすことが出来る」

「本当か?その保障は?」

「保障はありませんが、私にはそれが出来ます」

「すげえ自信だな」

 自信なんて無い。

 全てははったりだ。

 相手にウソを悟られないよう口角を上げ、余裕の笑みを見せる。

「私は人間ですよ。この国に認められた存在。王は……あの人(レオ)は必ず私の元に来る。必ず私を見つけ出す。そうなれば確実にあなた方の命は無いでしょう」

 そうだ。

 あの人は何が何でも私を見つけ出してくれるはずだ。

「あなた方は、ここが見つかった時、どうやって逃げるおつもりですか?先のことも考えずに私をさらったのでしょう?」

「…………」

 押し黙ってしまった男に、私はたたみかける。

「私に良い方法があるのです」