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「えっ!出来上がったの?!」

「ああ、鍛冶屋のガンスから連絡が来た。早速行ってみるか?」

「行きます!」

 レオからの報告を受け、私はすぐに鍛冶屋へと向かうことになった。その為にはまず、変装が必要だ。だからまたあのライオンのカチューシャを着ける。始めてこれを付けた時よりは、羞恥心がいくらかましになっていた。

「エン様、町に出かけるなら、服装は軽装な物にしますね」

 ティエナがそう言って、クローゼットから町娘風のワンピースを取り出してくれた。それは若草色のミモレ丈のワンピースで、白いエプロンが付いていた。

「わぁー。可愛い」

「はい。エン様にとても良く似合っています」 

 私は着替えを済ませ、ティエナに髪をセットしてもらうと、玄関へと出た。そこにはもうレオが来ていて、こちらに手を差し出してきた。

「エン準備が出来たようだな。うん。そういう服も良く似合うな。俺の元に降り立った天使」

 ひぇーー。

 そすがは王子様。

 くさい台詞も嫌味が無いし、鳥肌も立たない。

 むしろ格好いい。

 それに今日の服装……町の好青年風だが、王族のオーラは隠し切れておらず、どこぞのお忍びの貴族だと思われるに違いない。

 くっ……今日も格好いいがすぎるーー!

 レオの格好良さに酔いしれつつも、私は鍛冶屋で頼んでいた物を思い浮かべた。

 さてさて、どんな物が出来上がったのかな?

 私はウキウキ、スキップでもしそうな勢いで、鍛冶屋へと向かった。



 鍛冶屋の近くまでやって来ると、鉄を打つ音が聞こえてきた。

 この音……胸が高鳴るわ。

 期待で胸がはち切れそう。

 私は瞳を輝かせながら、レオと共に鍛冶屋の扉を開いた。すると、すぐに鉄を打つ音は鳴り止み、奥からガンスさんが現れた。