ネコ科なのに子犬のよう。

 可愛すぎる!

 胸がキュンッと締め付けられ、グサッと心臓に矢が刺さった音がした。

「ぐふっっ……刺さっ……あの……殿下……」

「レオンポルド……俺のことはレオと呼んで欲しい」

「愛称!あの……私が殿下を愛称で呼ぶのはどうかと思うのですが」

「嫌なのか?」

 悲しそうに丸い耳が下を向き、尻尾はだらんと垂れ、瞳はウルウルと潤んでいる。

 やだ何この感じ、更に子犬のようだし、可愛い。母性本能がくすぐられる何てもんじゃない、かき回されるようだよ。

 あああぁぁぁぁーーーー!

 どうすれば良いの!

 殿下を愛称呼びするのは……。

 チラリと視線を上げてみれば、そこには耳の垂れた可愛い殿下が……。

 ダメだと分かっているのにぃぃぃぃーー!

 こんな姿を目の当たりにしては断れない。

 私は意を決して殿下の名前を呼んだ。

「レオンポルド殿下」

 殿下の名前を呼んだというのに、何故か沈んだままの顔……。

「あの……どうしました?」

「レオだと言っただろう」

「ですが……」

「レオだ!」