もう少しすれば自分が思っている以上に暗くなり、パニックを起こすかもしれない。パニックをお越し、怪我でもすればこの森から出ることさえ難しくなるかもしれない。それだけは避けないと……大丈夫。自分はまだやれる。

「そうだ更に暗くなる前に、腹ごしらえをしないと」

 縁はエプロンのポケットから小袋に入ったクッキーとアメを取り出した。これは縁の働きく施設に入居されているおじいちゃんおばあちゃん達からもらった物だ。

「エンちゃんアメちゃんあげるよ」

「エンちゃんクッキーあげるよ」

 そう言って毎日のように食べ物をくれる。きっと孫にでもくれている気分になるのだろう。とてもありがたいのだが、こう毎日の様に頂くわけにはいかない。そのため退勤後にこっそりお菓子をくれた利用者さんの部屋に行き、お菓子の袋に戻して帰るようにしていた。そのお菓子がここで役に立つなんて……。

 施設のおじいちゃんおばあちゃん、ありがとう。

 手を合わせ、ここにはいない利用者さん達に思いを馳せる。

 今私の手の中にはクッキーが3コと、アメが5コ。お腹をいっぱいにすることは出来ないが無いよりましだ。この中から私はクッキーを一枚選び、口に運んだ。それをゆっくり、ゆっくり咀嚼して飲み込む。

 疲れた体に染み渡る甘さ……。

 クッキーがこんなにも美味しいと思える日がくるなんて……。