カチューシャがずれないよう手で確認していると、殿下が嬉しそうにフッと笑った。

「エン、それ凄く良く似合っているな」

「そうですか?ふふっ、殿下とお揃いですね」

 カチューシャの耳に触れながらニッコリと笑うと、殿下がフグッと奇妙な声を上げた後、すぐに咳払いをして私の肩をグッと抱き寄せてきた。

「ちょっ……殿下?」

「良いだろう?お揃いの耳で、まるで(つがい)みたいじゃないか」

「番って、夫婦って事ですか?!」

「嫌か?」

「嫌じゃないけど、ダメでしょう。あなたはこの国の王子様なんですよ。誰が見ているか分からないでしょう」

「エンは心配性だな」

「殿下が楽天的すぎるんですよ」

「そんな事はない。エン、お前だから良いと思っているだけだ」

 真剣な瞳で見つめられて、体が熱くなる。

 私はこのまま殿下の思いに答えて良いの?

 この人はこの国の王子様なんだよ?

「本当に俺の番になるか?」

「えっと……それって……」

 真っ赤な顔で殿下を見上げると、殿下の口角が意味ありげに上がってた。

 その顔は何?

 冗談なの?

 本気なの?

 どっちなの?