「殿下どうしたんですか?」
「いや、すまない。エンのいた世界とここではマーキングの意味が違うようだ」
「そうなんですか?」
「エン、もう外でマーキングの話をしてはダメだ」
「?……分かりました」
二人の様子から、きっと口にはしてはいけに言葉なんだと理解して、私は頷いた。
「それでレオンポルドは何しに来たんだ?ただ嬢ちゃんを見せびらかしに来たわけじゃ無いんだろう?」
「ああ、ガンスに見てもらいたい物があるんだ」
そう言った殿下に促されて、私はガンスさんの前に紙に書いた設計図を広げた。
「嬢ちゃんこれは?」
「これは介護用品です。老人が使う物なので、壊れにくく、しっかりした物を作って頂きたいのです」
「それは大丈夫だが、ほうほう……面白そうなもんが、沢山あるな。くくくっ、良いねぇ」
エンは図面を見ながら子供のように瞳を輝かせるガンスさんに細かく説明をした。時々『これは……、ああ、そうか。なるほどな』と何度も図面を見ながら頷き、興奮していた。作ってもらえるかなと、不安に思いながらガンスさんに説明を続け、そして最後の道具の説明が終わる。
「説明は以上です。何か質問とか……」
「今の説明で十分だ。それに、これだけ細かく図面に注意点が書き込めらてんだ。大丈夫だ」
「では、お願い出来ますか?」
「おう。俺に任せておけ!」
ニカッと笑ったガンスさんが、親指を立ててきた。
ガンスさんの笑顔につられて、私も笑顔になった。