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 エンは殿下と共に、王都の端にある鍛冶屋へとやって来た。家の中からカンッカンッカンッと鉄を打つ規則的な音が聞こえてくる。

「殿下ここですか?」

「ああ、入ろう」

 私は殿下と共に、鍛冶屋と異世界文字で書かれた看板が掲げられた家の中へと入った。店内はそんなに広くないが、きちんと整理されており、壁に剣や盾が飾られ、棚にも沢山の何に使うのか分からない道具が置かれてていた。

「うわーー。凄いですね」

 まさにファンタジーと言ったお店に、私は目を輝かせた。ゲームに興味が無い私がこんなに興奮するんだもん、ロールプレイングゲームが好きな男子とかなら、泣いて喜んだんだろうな。そんな事を思いながら店内を眺めていると、奥から低い男の声が聞こえてきた。

「何だ、珍しい客が来たじゃねえか」

 声の方へと視線を向けると、筋肉隆々と言った言葉が似合う中年の男性が立っていた。近くまで来た男性は私を見下ろすと、顎に手を当てニヤリと笑った。

「へぇー。レオンポルドが女の子を連れて来るなんて、珍しいな」

 私は思わず殿下の後ろに隠れて、殿下の服の裾を引っ張った。すると「ふぐっっ……」と変な声を出した殿下が、顔を覆った。少し顔が赤いけど大丈夫かな?そう思ったが、スッと息を吸い込んだ殿下はすぐに表情を元にもどし、私に視線を向けた。

「大丈夫だ怖くない。こいつは鍛冶職人でサイ獣人のガンスだ。こんな見てくれだが、繊細なモノも注文すれば作ってくれる。信頼できる職人だ」

 私がゆっくりと殿下の後ろから顔を出し、殿下の方へと視線を向けると、優しい笑顔を向けられた。