エンがスポドリをなんとか飲用させていると、老人が何かを呟いていることに気づく。

 ん?

 声が小さすぎて聞き取れない。

 そっと口元に耳を近づけて傾聴すると、ボソボソと声が聞こえてくきた。

「わしは……わしは……」

「ん?もう一度良いですか?」

「わしは……木になった……」

 はぃぃ?

「おじいちゃん、聞き取れなかったのでもう一度お願いします」

 もう一度、耳を澄まして老人の言葉を待つ。

「わしは……わしは……木になった……」

 カクっ、思わず体がコントのように崩れた。

 今、なんて?

「おじいちゃん、木になっちゃったの?」

「ああ……わしは、木だ……木になった」

 私が呆然としていると、隣にいたティエナが無表情で突っ込みを入れる。

「じいさん、とうとう獣人やめたのか?」

「ティエナさん、言い方!」

 今度は私がティエナに、さん付けで突っ込みを入れる。