「お前……信じていないだろう」

「えっ……そんな事無いですよ。信じていますよ。それに殿下はこの国のことが大好きなんだと言うことが、とても伝わってきました」

 ニッコリと私が笑うと、殿下がフイッと視線を逸らした。

 あっ……照れてる、照れてる。

 可愛いな~。

 よしよしと殿下の頭を撫でると、丸いモフモフの耳がピコピコと動いた。

 ん?

 喜んでいるのかな?

 可愛く動く耳にそっと触れると、殿下の体がピクリと跳ねた。

 あ……確か、耳や尻尾に触れて良いのは家族や、婚約者だけだった。それを思い出し、私は殿下の耳から手を離した。

「ごめんなさい。つい……」

「お前なら良い……」

 そう言って殿下が、私の手を握りしめた。

「あの……それって……」

「お前になら触らせてもいい」

「……良いんですか?」

「ああ……。だから俺もエンの耳に触りたい」

「ふうぇ……?ちょっ……」

 ふにふにと、殿下が私の耳に触れる。

「本当に毛が生えていないんだな。ふにふにしていて、柔らかい」

「ひゃっ……ちょっと、待って……殿下……」

「待たない。お前だって、いつも遠慮無く触って来るだろう」

「そうですけど……」

 エンが言い淀んでいると、殿下が思いも寄らない行動に出る。

 ペロッ……。

 耳にぬるっとした、温かい何かが……。

 なっ……何ナニなに……。

 耳にペロッ、ピチャッという音が響く。