後はこの世界がどういうところなのかと言うことなのだが……。魔法が使える世界なのか、そうでは無い世界なのか……。それを確認するにはあの言葉を叫んでみる必要がある。

 縁はゴクリと唾を飲み込み、息を肺いっぱいに吸い込む。そこからグッと腹部に力を込めてから声を張り上げた。

「ステータスオープン!」


 シーーーーン。


 うん。

 時が止まったよね。

 格好付けて出した右手が小刻みに震えているし、こっぱずかしさから顔が熱くなった。

「いやぁぁぁーー。中二病かよ!」

 思わず自分に突っ込みを入れ、転げ回りたい衝動を抑える。

 恥ずか死ぬ。

 ハァハァと呼吸を繰り返しながら平静を取り戻すと、スンッと顔を無の表情へと変えた。

 ダメだ……詰んだな。

 こんな森の中で魔法も使えないなんて、「死ね」と言われているようなものだ。

 でも……もしかしたらステータスが無い世界なのでは?

 縁はもう一度唾を飲み込み、自分の中にあるまだ目覚めぬ力を信じて、右手を前に突き出しながら声を張り上げた。

「ファイアーボール!」


 シーーーーン。


「だよね。だよね。そうだよね。当たり前だよ。出せるわけ無い。何なのよ!恥ずかしすぎる!自分の中の力を信じてってなんだよ。どうしてこんなことになっちゃったのよ!」