「エン、うるさい」

 キスしてきたくせに、やけに落ち着いている殿下に、私は慌てふためく。

「だっ……だって……だって……キス……」

「ん?何だ?昨日はエンからしてくれただろう?」

「そんなことしてな……い……」

「しただろう?」

「…………」

 した……子ライオンが可愛くてキスをした。

 わたしは頭の中で、殿下→子ライオン→子ライオン→殿下と何度も頭を巡らせた。

 殿下は子ライオンであって、子ライオンは殿下なのだ。

 ああぁぁぁーーーー!

 恥ずかしさから顔を覆っていると、殿下が言葉の爆弾を投下してくる。

「それにエンがしたのはキスだけでは無い」

 えっ?

 私は殿下に何をしたの?

 全く覚えていない。

 まさか……寝ながらあんなことや、こんなことを……?