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 朝の日差しが顔に当たり、その明るさでエンは目を覚ました。

「んっ……暖かい。気持ちいいけどこれは日差しのせいでは無いわよね」

 あれ?

 ホントにどうしてかしら、布団の中がやけに暖かいのだけれど……。

 ん?

 何だろう?

 右手で目をこすりながら、左手で暖かくてすべすべとした感触を楽しむ。すると張りのあるバリトンボイスが響いた。

「おい。くすぐったいだろう」

「えっ……」

 驚きつつもその手を止められずにいると、動かしていた手を取られた。

「おい、くすぐったいと言っているだろう」 

 もう一度、張りのあるバリトンボイスを聞き、ハッとする。

「でっ……殿下!」

「ああ、そうだが?なぜ驚いている。騒がしい奴だな」

 そう言って殿下が笑った。

 ふっと笑った顔が日の光を浴びて、美しいく神々しい。

 初めて出会った時から思っていた。輝くような金を混ぜたオレンジの髪、空色の瞳、通った鼻筋、男らしい体躯、全てが完璧で美しいと……。ポッと頬を染めて、美しいその顔を堪能していると、殿下が吹き出した。

「プッ……何だその顔は?」

 そう言いながら殿下がチュと唇を重ねてきた。

 え?

 え?

「ええええぇぇぇぇーーーー!」