パッと殿下の頭から手を離し謝ると、真っ赤な顔をした殿下が涙目になりながらこちらを見た。その表情にエンの胸の奥深くに衝撃が走る。ズキューンと矢が刺さったような衝撃。

 ちょっと、何ですかその表情、もっと見せて、ご褒美ですか!

 その顔を見たくて覗き込もうとすると、恥ずかしそうに殿下が顔を逸らした。その仕草さえも可愛いすぎてご褒美です。そう思っていると、ポンッと音を立てて殿下が子ライオンへと変化した。

「きっ……キャーー可愛い」

 目の前に体を丸めた可愛い子ライオンが現れ、エンはすかさず抱き上げ膝に乗せると、モフモフを堪能する。その間殿下はされるがままになっていて、コロコロと喉を鳴らしている。

 可愛い、耳の後ろが気持ち良いのかな?

「ふふふっ。殿下は可愛いなー。もう遅いから一緒に寝ましょう」

 私は殿下をヒョイッと抱え上げ、ベッドに乗せると布団を掛けた。殿下は体を強ばらせて固まっていて、目だけがキョロキョロと忙しなく動いていて挙動不審だ。そんな殿下の体を優しく撫でて落ち着かせると、殿下はポフンッと枕に顎を乗せた。何かを諦めたように子ライオンが溜め息を付いるのだが、そんな姿もめちゃくちゃ可愛い。

「ふふふっ。お休み」

 殿下の鼻先にチュッとキスをすると、「ミャッ!」と可愛い声を出して枕に顔を埋めた。

 本当に殿下は可愛いな~。
 
 私はそんな殿下の背中をさすりながら、ゆっくりと瞼を閉じた。