「殿下止めて下さい。私は少しだけ認知症の知識があるでけで、大して役に立たないかもしれません」

「そんなことはない。お前の……エンの存在は希望だ。悪魔付きと呼ばれた……呼ばれている人々の希望。あれを病気と認定させる」

「そうですね。私が希望というのは少し大袈裟ですが、明日から大変ですよ。認知症を理解してもらう為に頑張らないと」

「ああ…そうだな」

 殿下が泣き出しそうな顔をしながら、眩しい物を見るように瞳を細め、笑う姿に胸が締め付けられた。

 やだ、何この顔。

 可愛い、ギュッとして撫でたくなっちゃう。

 思わず金を混ぜたオレンジの髪に手を伸ばし頭を撫でると、その柔らかさに感動してしまう。

「うわーー。柔らかい」

 そのまま頭についている丸い耳に手を伸ばし、フニフニと触り、耳の後ろを優しく撫でる。そこまでしてハッとした。なんと、殿下の顔が真っ赤に染まり、フルフルとふるえているではないか。

「あっ……ごめんなさい」